第62章 異変 2
「ご到着お待ちしておりましたアンコさん!至急ご報告申し上げたいことが……」
ガラッという音と共に勢いよく開けられた扉。
慌ただしく入室してきたのは、今回の試験の監視を行っていた中忍の一人だ。
「何なの?!人が大事な話をしてる時に!」
アンコもアンコで他人のことを構っている余裕がない。
苛立ちを隠すことなく、まるで八つ当たりをするような態度で怒鳴った。
明らかに異様な空気が流れている中、その中忍は構うことなく「とにかくこれを見て欲しい」と、そそくさと一本のビデオテープを取り出し、ビデオデッキにセットし始めた。
―――なんだかさきにとっては、その光景はとても懐かしく…
『うわ懐かしっ…DVDじゃないんや…….』
…久しく、自分が元いた世界と今目の前にある現実とを比べてポソッと呟いた。
ちなみに言うと、デッキが繋がれているテレビもだいぶ大きい。
地デジになる前の、ブラウン管のアレだ。