第62章 異変 2
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塔に着いてからというもの、アンコはさきたちに同行した暗部と軽い言い争いを繰り広げていた。
なんでも、アンコの師でもあるという大蛇丸がこの死の森に侵入しているらしい。
さきは彼らの言い合いを静かに聞いていたが、実際はあまりに深刻かつ複雑な状況に、どこか思考が付いていけていない感じがして、言葉を発せられずにいた。
アンコが先程、その大蛇丸と対峙した。
大蛇丸は、やはり草隠れの忍を殺害し、消写顔の術にて顔を奪うことですり替わってこの森に侵入したとのことだ。
そしてアンコの首もとの呪印はかつて大蛇丸に付けられた“天の呪印”というものらしい。
これは、大蛇丸の意識とチャクラを分散させたものだという。
酷く痛むのはもちろん、大蛇丸が付近にいる時にアンコがチャクラを練ってしまうと、奴の意識やチャクラをコントロールすることができず、最悪死に至るという…。
そして、そんな状況であるにも関わらず、アンコは何故かどうしてもこの試験を中止にすることは出来ないと聞かないのだ。
「大変な事になってるけど…この試験は中止にはできないのよ!」
「どういうことだ」
(…もしかして、続けざるを得ないよう、大蛇丸に脅されてるとか…?)
さきは一人、胸の中でアンコに尋ねた。
その時、バタバタと慌ただしく忍らしくない大きな足音が部屋に近づいてきた。