第61章 異変
だって、アイツも今、死の森の中にいるはずだ。
なのにどうしてここに死体があるというのか。
簡単に考えられることと言えば、この死体の彼に成りすました何者かが試験にうまく紛れ込んだ……いや、その線で大方間違いないだろう。
一体何者か分からないが、この三人を殺したのはさっきのアイツでまず間違いない。
(なんでこんなややこしいことに…?いったい犯人は何者なの?堂々と試験を受けられない理由が…?それとも別の目的があるの?七班の皆は無事に試験を進められてるのかな…)
さきが色々と思考を巡らせていると、アンコもかなり慌てた様子で指示を出し始めた。
「えらいことになったわ!あなた達はこのことをすぐ火影様に連絡!」
「え?!」
「さき!アンタが一番足速いわね!死の森へ暗部の出動要請を2部隊以上取り付けて!私はたった今からこいつら(の顔をした侵入者)を追いかけるわ!」
『わ、わかった!』
こんなに取り乱すアンコを見るのは初めてだ。
さきは足早にその場を立ち去り、死の森の中へと向かったアンコの背を横目に、暗部の出動を要請しに向かった。
妙に心がざわついた。
(なんやろう、この嫌な感じ……何も無いといいけど…)