第61章 異変
それは恐らく彼らを殺害した者は、殺すことに抵抗がない…というより、今まで何人も殺してきた相当な手練ではないか、と言うことだ。
傷を見る限りでは、確実に命を落とすようにされているし、三人にも抵抗したような跡は見られない。
「こりゃーひどいな…」
コテツもさきの隣にしゃがみこんで、その遺体をじっくり観察する。
まさかの問題が発生したことに、面倒臭そうに頭をポリポリとかき、ポソっと不満を漏らした。
『…どうする?彼の額当てからして草隠れの人達みたい。…
となると恐らく中忍試験の受験者よね?』
「そう考えるのが自然だな。すぐに第二試験官アンコさんに知らせよう」
『うん、了解。私が行ってくる』
こういう時の嫌な予感というものは、何故か昔からよく当たった。
自分の記憶が正しければ、三人の遺体のうち、顔が剥がされていなかった残りの二人も、中忍試験の志願書で見た顔なハズだ。
イズモとコテツは恐らくこれから、遺体の状態と彼らの所持品などを確認するはずだ。
そうすればきっと、通行証などの証明書が見つかるだろうから、身元はすぐ判明するだろう。
(…とにかく早く知らせないと。)
さきは急いでアンコの元へと走った。