第61章 異変
辿り着いた場所は、先程三人が居たところからほんの数十メートル離れた場所。
青々と茂る草むらと、お地蔵様がズラリと立ち並ぶその場には、全く似つかわしくない赤黒い血が飛び散り、お地蔵様の顔や体にもその跡がしっかりと残っていた。
『…これやね、ニオイの元は』
地面には三人の遺体がまるで捨てられた人形のように横たわっていた。
遺体の腐敗がまだ見られず、異臭もさほどないことから、まだ殺されてからそんなに時間は経っていないことが見受けられる。
「…これって何かの忍術だよな……」
『多分…そうやろうね…』
その三つの死体のうち、黒い長髪が特徴的な人は、顔が溶かされたかのように無かった。
(でも、これが忍術だとしても、こんなの見た事も聞いたことも無い。…何か特殊な能力でも持っているのか…それとも何かの禁術の類…?)
さきは、それぞれの死体を観察しつつ思考を巡らせた。
カカシと同居する家には、なにもイチャイチャシリーズなどの官能小説ばかりを取り揃えているわけではない。
様々な武器や忍術に関する書物も、背の高い本棚には所狭しと並べられている。
さきがこれまでに読んだ本を思い返してみても、それに一致するような死体の在り方ではなかった。
ただ、分かったことが一つだけある。