第60章 試験官のお仕事
「んん!」
アンコは気を取り直す為咳払いをひとつして、一番近くにいたナルトから同意書を回していくように言った。
そしてそのまま、演習場地形図を片手に、第二の試験の説明を続けた。
簡単に説明するとこうだ。
第44演習場 別名「死の森」は、中央に川が流れる、その名の通り大きな森に囲まれた、直径20キロの円状の演習場だ。
その周りには44個のゲート入口があり、演習場の中心には塔がある。
この中で、各々の武具や忍術を駆使した極限サバイバルを行う…というもの。
「なんでもアリアリの ――――――“巻物争奪戦”よ!!」
アンコは両手に携えた天・地の巻物を受験者に見せた。
「天の書と、地の書…この二つの巻物をめぐって闘う」
合格の条件はさきが受験した前回の中忍試験と同じく、天と地の巻物を揃えて中央の塔まで制限時間内に三人揃って来ること。
時間も同様に120時間。つまり五日間。
自給自足、戦略も自由。
本当に何でもアリだ。
途中ギブアップも一切無し。
そして、巻物の中身は見てはいけない。
…という、かなり緩く、そしてかなり厳しい試験ルールとなっている。
「説明は以上。同意書三枚と巻物を交換するから…その後ゲート入口をさきから発表してもらうわ。
担当の者に尾いてそれぞれのゲートへ移動したら、一斉スタートよ!」
そして、それまで調子よく説明をしていたアンコの表情から、一瞬にして笑顔が消えた。
「最後にアドバイスを一言…――――――死ぬな!」
受験者たちの表情に更に緊張の陰がかかった。
―――そう。
とにかく自分たちの命だけは何としても守らなければいけない。
何より大切なのは、自分の…そして、仲間の命。
いつだって忍の任務は命懸けだ。
『アンコの言う通りだね』
さきも小さな声でそれに賛同した。