第59章 見送り
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一方、カカシに見送られたさき。
第一の試験開始前の出来事。
第二の試験を担当する中忍以上の忍は全員、その総督であるアンコの元へ集まり、その指示を仰いでいた。
「第二の試験で使用する巻物は中忍を口寄せ出来るものを使用するわ。役割は簡単よ。第一に試験を通過した場合、その受験生を迎え、火影様の中忍心得を伝えること。第二にもし途中で巻物が開かれた場合、試験終了時刻まで気絶させること。第三に試験を突破できなかった場合は、引導を渡すこと。
担当者はこちらで既に振り分けてあるわ。これから読み上げてもらうから。さき、頼んだわよ。」
『了解。では、担当者を発表しますね。そのチームが第一の試験を通過できなかった場合は、待機所から退出して頂いて構いません。』
さきはアンコと共に作成した受験者と試験官側のリストを読み上げ始めた。
第一班、第二班…と順序良く担当者が呼ばれてゆく。
そんな中ある者が心配げな瞳をしたまま顔を上げたり下げたり、落ち着かない様子で立っていた。
『では次、第七班。うずまきナルト、うちはサスケ、春野サクラ…上忍はたけカカシの推薦です。こちらは…』
「待ってください!」
『な…え?』
待ったをかけたのは、“またしても”イルカ先生だった。
「…何?どうしたの」
思わず顔を顰めたアンコが、ひとまず事情を聴こうと声を発した。
「あいつらの力は私が一番知っています。どうせ無理なら私が引導を渡したいんです」
『…!』
イルカ先生は、自らこの役目を買って出ると言った。
しかしその口振りからは、ナルトくんたちが第二の試験は突破出来ない、不合格になると思っているようだ。
「…そういやカカシと言い合ってたものね。」
アンコは暫くの間を置いて、名簿者リストとさき、そしてイルカの表情を見比べた。
「………そんなにこだわるならそいつらのチームはお前に任せるけど…わざわざ恨まれ役を買ってでるとはね」
「ありがとうございます!」
ガバッと勢いよく頭を下げるイルカ先生。
アンコは方眉を下げてやれやれという感じで、イルカ先生の願いを聞き入れた。