第59章 見送り
◆
第一の試験会場、アカデミーの301号室前。
カカシはさきを見送ったのち、暫くしてこの場に出向いた。
ほんの少し前まで、何やらすぐ下の二階から騒がしい声がこのフロアまで響いていたのが、いつの間にか静けさを取り戻しつつあった。
(大方、中忍のコテツやイズモあたりが志願書提出の時点で篩にかけようとしてんだろうが…さっきガイの声も響いてたし、アイツのとこと何か揉めたか? …ま、何とか落ち着いた様子だから、大丈夫だとは思うけど。)
なぜカカシがこの場にいるのか。
それは自分の教え子たちが三人揃ってこの場に来るかを確かめ、見送るためだった。
(三人揃って来なければ、今回の受験はパスだからな…)
どこか祈るような思いを胸に秘めつつ、体重を壁に預けて待っていると、向こうの方から歩いてくる三つの影が目に入った。
「……そうかサクラも来たか……」
カカシはその三人の姿を見て、静かに胸をなでおろした。
生き生きとした希望と野心に満ちた彼らの表情は、カカシの目にとても良く映った。