第58章 好き
里に着いたのは、中忍選抜試験の前日の早朝。
只管走り続けた甲斐あって、予定より半日ほど早くついた。
さきは、火影様のいる部屋へと急ぎ、任務報告と共に連行者の報告を行った。
『――― 何者かに雇われていたようです』
「そうか…ご苦労。
誰と何の繋がりを持ったか分からんが、今回の中忍試験に問題が起きないよう、里内外の見張りを強化する必要もありそうじゃな…」
『はい、それが宜しいかと。』
「相分かった。 これから連行した者を取り調べる。暗部を手配し、拷問尋問部へ送ろう。
…しかしこのタイミングか…イビキも手が離せんじゃろう…少し、長引くかもしれんな」
『確か第一試験の試験官でしたか、イビキさんは』
「そうだ。……よかろう。一先ずそやつは厳重に拘束しておく。
後のことはこちらに任せ、お主は少し休むと良い。
落ち着いたら中忍試験の準備じゃ。またアンコから直接連絡が行くであろう。」
『分かりました。失礼します。』
「ご苦労じゃったな。」
さきはそのまま火影室を退出した。