第58章 好き
(大丈夫かな……)
今回の中忍試験はドタバタしているっぽいし、七班のみんなのことも気になるところだ。
あの抜け忍もまぁまぁ手練だったし、そうなるとあの裏に誰がいるのかも気になる。
それよりまずはアンコの補佐もあるしなー…と、さきは寝不足の頭をフル回転させた。
(―――――― ダメだ、考える事がありすぎる。)
さきは随分と明るい夏の空を仰いだ。
涼しい。
白い雲が浮かぶ空はこんなにもさわやかだったか。
さきは漸く、そこで大きく深呼吸をした。
任務完了。気になることは山積みだが。
『…ま、とりあえず帰ろっかな』
ひとまず帰ってシャワーを浴びて、仮眠でも取らないと今日からまた忙しいしなぁ…と、少し重たい頭を抱えつつ自宅に帰ることにした。
現在の時刻は早朝の6時。
(今頃カカシは慰霊碑にでもいるのかなぁ……)
……
…………
………………
…ちょっと寄ってっちゃおうかな?
…うん、一応行ってみよう。
べつに、居なくてもいいし。
居なきゃ、家に帰ればいるし、多分。
もし居たら、カカシに会えたらいいなって……
……できるだけ、早く
それだけ。
うん、あの大樹も気になるし……!
さきは自分にそう言い聞かせるようにして、自宅に帰るのをやめ、第三演習場へ向かった。