第58章 好き
『"あの"って……それに、関係あります?』
さきは愛想笑いを浮かべるものの、無意識に口元はヒクヒクと引きつらせていた。
「カカシさんは高経歴高収入!しかも火影直轄の暗部出身…実力は確かで人望を集めてる。 世界中に写輪眼のカカシの名を轟かせる、木の葉随一の天才上忍。
里のハイスペック男性といえばカカシさんでしょう?"あの"って言いますよそりゃね…」
上忍は指を折り曲げながらカカシのことを勝手に語り始めた。
確かに、カカシは所謂"凄い人"だ。
彼の言うハイスペック男性も間違いない表現方法だと思う。
(けど、カカシはカカシなりにその裏では色々あって、色々悩んでるんやけどなぁ…やっぱ羨ましく思うものなのかな。)
そして、そうゆうことはさきにとってはどうでもいいことなのだ。
たとえカカシがそうでなくても、カカシのことは……
さきはひとまずニコリと笑顔で、「どうでしょう」と言い、話を流そうと試みた。
が、まだ話には続きがあるようで…
「肯定しないってことは、違う…つまり、付き合ってないって捉えていいんですか?」
『…いやだから……何でそんなことを聞くんです?』
さきの作り笑いは既にほぼほぼ崩壊していた。
ぴくぴくと眉根を寄せるその顔は、可愛い…なんて言葉からは酷くかけ離れていることは自分でもなんとなくわかっていた。