第55章 異例発表
何だか終わりそうもない論争に、ピリッとしたあんまりよくない空気。
ふぅ…とさきは細く息を吐き、イルカ先生にそっと声をかけた。
『あの…イルカ先生? お気持ちは分かりますよ、凄く。 ナルトくんたちはすごくいい子で、それは先生の指導や付き合い方のお陰だと思ってます。
でも私はカカシの補佐としてこの推薦に賛成です。 経験の浅いわたしが言うのもアレですが…あの子達はもう、現場に出る一端の忍です。
カカシはそれを率いる上司…あなたの親心も分かりますが、今のナルトくんたちのことも、そしてカカシのこの判断も、信じてみませんか?』
それでも、イルカ先生やガイは、あまり納得の行かない顔をしている。
(―――ま、そりゃそうか。私も言わば異例なんだから。)
前回の中忍試験を受け、その後さきがなったのは特別上忍だ。
そのうえ、さきが今ついているのは、誰よりも優秀な経歴を持つカカシ。
部下が上司であるカカシの肩を持つのは当然の流れだと思われるだろうし、そんな異例の自分がイルカ先生を宥めても、どっちにしても納得はされないだろう。
「ま!ケチるなよ…」
さきの言葉で少し冷静になったのか、カカシもいつもの口調でイルカとガイを宥めた。
「そのへんにしておけ。」
三代目が漸く止めに入った。
カカシら3人全員の推薦を受け入れる、ということだ。
「では次…新人以外の下忍の推薦を取る。」
その後、何事もなかったかのように会議は進行されていった。
結局、ガイ班も全員の推薦が受理され、現時点で総勢87名の下忍が受験することとなった。