第55章 異例発表
「お前達の手の者に今回の中忍選抜試験に推したい下忍はいるかな…。…じゃあカカシから…」
第七班のメンバーは、みんな既に中忍試験の受験資格である最低基準の八つの任務をこなしている。
つまり、全員受験の資格があるわけだ。
三代目の問いかけに、カカシは迷うような素振りもなく答えた。
「カカシ率いる第七班…うちはサスケ、うずまきナルト、春野サクラ以上3名。 はたけカカシの名をもって中忍選抜試験受験に推薦します。」
それに続いて、紅の班、アスマの班も全員の名前をあげ、推薦した。
「……ふむ…全員とは珍しい…」
例年であれば、もう少し修行や経験を積ませてから参加させようと判断する先生もいるものだ。
忍者になったばかりのまだまだ若い子供たちだ。
その判断だって間違いではないだろう。
しかし火影自身も、名家の子息たちが揃いに揃ったこの世代には大変期待していた。
「ちょっと待ってください!!」
しかしそれに対し、さきよりも後方で聞いていたイルカ先生が大きな声で反論した。
彼は、忍者の卵を育てるアカデミーの教師。
今回推薦された9名の担任を務めていた。
彼自身、みんなの才能は認めてはいるが、危険な中忍試験に参加させるのはまだ早いのではないか、と考えを主張した。
(確かにアカデミーを卒業して間もない上に、特にナルトくんには身内のように関わってる彼だから…そりゃ心配も心配よね…)
さきはイルカ先生の考えを聞き、「なるほど分らなくもない」と、深呼吸で胸を膨らませた。
しかしそこで思わぬ反対をしたのは、そんなナルトの直属の上司であるカカシだった。
「私が中忍になったのはナルトより6つも年下の頃です」
「ナルトはあなたとは違う! あなたはあの子達を潰す気ですか?!」
カカシは推薦の理由を話したが、イルカ先生は全く納得いかない様子でそれにも猛反発した。
(…空気悪いなぁ…なんか喧嘩みたいになってるし。)