第55章 異例発表
「眠いか?さき。少しぼーっとしてるみたいだけど」
数分程度で書き上げた非常に簡素な任務報告書を届けたその足で、二人は呼び出しのあった三代目の元へと向かう。
その道中、あまり集中力のないさきの様子が気になり、カカシは優しく声をかけた。
『んー…あ、ううん大丈夫!眠くないよ!』
「ホント?注意力散漫してるよ」
『いや、ちょっと考え事してて…』
さきはどこかばつの悪そうな表情を浮かべる。
「…何を?」
カカシはそれを怪しんだ。
『ううん!大丈夫!大したことじゃないから…ね!』
そう言ったさきは、いつもの笑顔でこちらを見上げた。
(やっぱり昨晩のことか…?)
カカシはそう考えたが、さきがそれ以上話すつもりがないのではどうしようもないし、分からない。
しかし何か重要なことなら、さきは自分に話してくるはずだということも分かっていた。
(しばらく様子を見守るか…)
カカシはいつものように、さきの頭をポンと撫でた。
「ま、ならいいけど…無理するなよ」
そうすると彼女が笑うことを知っているからだ。
『うん!ほんまに大丈夫!ごめんごめん!』
さきはニッコリと微笑んだ。
カカシは小さく頷いた。
こうすることしか出来ない自分を、ほんの少し自嘲しながら。