第3章 Talking Night
『それで、私もいてないんよ。 大切な人…みんな消えてっちゃって…残ったのがその親友だけ。 でもその親友がね、今度彼氏と同棲するって言ってて、それがほんまに嬉しくて。 私じゃない、他の誰かに…こんな私なんかより更に沢山大切にされて、私の大切なものを守ってくれるっていうその安心感は、私の知ってる言葉では、到底言い表せれんのよね…』
さきはひとしきり、自身の話をして、先ほど見せたものと同じ、あの消えてしまいそうな儚げな笑顔をカカシへ向けた。
月の光は彼女のそんな顔を明るく照らしていた。
「ま、ちょっと寂しいんやけどね~」と付け足してさきはまた笑う。
今度はカラカラと普段の彼女の笑顔で。
あぁ、昨晩震えて泣いた彼女は、何もかもを失ったその時の喪失感を…不安や恐怖や絶望を思い返すかのようだったのだろう。 とカカシは思った。
『そのメモ書きでしか分からへんかったけどさ… 私とカカシ、ちょっとだけ似てるんかもね?』
―――――― オレも、そう思っていた。