第52章 大切なこと
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「お世話になりました」
『ありがとうございました』
カカシとさきは、ツナミとタズナに礼を伝えた。
ナルトとイナリはすっかり分かり合えたようで、互いに別れを惜しんで泣いていた。
(たくさんのことを学べた任務だったな。)
皆にとっても……私にとっても。
「またAランク任務やってやるってばよ!」
「ダメダメ!再不斬と白…あれほどの強い忍相手に皆無事だったのが信じられないくらいだよ」
カカシにピシャリと否定され、ナルトは「え~~」とうなだれた。
さきはニコニコと笑顔を浮かべながら、その会話をカカシの隣で聞いていた。
「ま…もっと術覚えて、修行して、強くなってからだよAランクなんてのは』
「んーーー…それもそうだけど…守りたいもんもっといっぱい見つけねーとな! 白の兄ちゃんが言ってた!…人ってのは大切な何かを守りたいと思った時に本当に強くなれるって!」
『…ナルトくんはそう思ったの?』
「うん!白の兄ちゃんと再不斬見てたら…そう思った」
さきとカカシはどちらからともなく顔を見合わせ、ナルトに向かって微笑んだ。
あの二人との戦いは、彼の忍人生に大きな何かを与えるかもしれない。
(私の言葉は、この子に通じたかな…)
「あのさ!あのさーあ! じゃあこれってどう思う?」
「何が?」
ナルトは続けて、カカシを見上げて問いかけた。
「オレ…アイツら好きだった!」
ナルトは敵や味方という見方ではなく、その人の本質を見て、受け入れる懐の深さを持っている。
そしてそこから学んでいける子なのだろう。
さきは心の底からそう感じた。
「ふふ…オレもだよ」
『ふふ…私もやで』
さきとカカシの二人の声は重なっていた。