第52章 大切なこと
ワイワイと話しながら前を行く姿を、さきは後ろから見守りながら歩いていく。
ナルトはイルカ先生にラーメンをおごってもらうと勝手に決め、サクラはサスケをデートに誘うもサスケくんに断られ、それを聞いたナルトは自分はいいよというが断られ…それを見ているカカシはなんだコイツらという顔で笑っている。
『ふっ…良いチームやね、ホンマに』
さきは目に焼き付けるようにそれを見つめた。
「じゃあ!みんなでカカシ先生にラーメンおごってもらうってばよ!」
「それなら行ってやってもいい」
「馬鹿ねナルト!カカシ先生はさきさんと二人でデートしたいわよ!」
(…え、なんで突然そうなるの?)
「コラ。あんまり大人をからかうんじゃないぞ~お前ら」
突然話がこちらのほうにまで飛んできたので、カカシがいつものゆったりとした口調で割って入った。
とはいえ、一切止める気など見えはしないのだが。
「カカシ先生が~さきの姉ちゃんのことすっげー好きってことくらい~俺たちにもわかるってばよ~? ニシシシ」
完全にカカシはおもちゃにされてるようだ。
ハハ…とさきも思わず苦笑いする。
頭を上から押さえつけながらそろそろやめろと言うカカシ。
それがどこかうれしそうなナルト。
まぁ、これもこれで微笑ましい光景だ。
「でも、さきさんもカカシ先生をすっごく好きよねー!」
サクラはクルッと髪をなびかせながら振り返り、どこかちょっぴり照れたような、とびっきりの乙女の笑顔をさきへと向けた。
ナルトもサスケも、頬を少しだけポッと染めてさきのほうを見ている。
そのあまりに可愛らしい三人の表情に、さきは思わず吹き出すようにして笑い、そして自然と答えていた。
『ふふっ…そうやねっ』
また、サクラとナルトがキャーキャーギャーギャーと叫び始める。
その時のさきは、そう言えば彼も…カカシもその場にいたなんてことは、これっぽっちも気に留めてなどいなかった。