第52章 大切なこと
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それから二週間が経過した。
一番重傷だったサスケ、それからナルトとカカシの怪我もすっかり回復した。
今日は、波の国に滞在する最後の日。
さきたち第七班は、再不斬と白の墓参りに来ていた。
「カカシ先生、さきさん…忍者の在り方ってやっぱこの二人が言ってた通りなのかなぁ…」
サクラがふいに問いかけた。
「あんたもそう思うのか?」
「本物の忍者になるって、本当にそういうことなのかなぁ…なんかさ!なんかさ!オレってばそれやだ!!」
サスケやナルトも、口々に問う。
彼らはこの戦いの中で同じ疑問を持ったようだった。
「忍者って奴は、皆知らず知らずそのことに悩んで生きてんのさ…再不斬や、あの子のようにな…」
カカシは否定も肯定もすることはなかった。
彼もまた、忍者とは何かと何度も思ってきたに違いない。
ナルトはさきの後ろで、二人の墓を見て黙りこんだ。
さきは墓に向かって合わせていた手を離し、スクリと真っ直ぐ立ち上がった。
(―――――― 違う。)
『私は…そうは思わないよ。』
え?という顔で、四人はさきを見つめた。
さきは並べられた二つの墓を見て、そしてゆっくりと空を見上げ、振り返って四人を順番に見た。
そして、まだ若い、未来のある三人に向けて、こう話した。
『いい? 私から三人に、この先絶対忘れて欲しくないこと……』