第52章 大切なこと
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――――――ガトーの手下が去り、辺りは少しずつ落ち着きを取り戻し始めた。
それを感じ、再不斬はカカシに声をかける。
「……終わったみたいだな…カカシ」
「ああ…」
「頼みがある…あいつの…顔が…見てェんだ……」
―――――― はらり と、白い雪が落ちてきた。
今は6月。
雪なんて降るはずのない季節だ。
それなのに、美しく真っ白な雪が、この橋の上に降ってきた――――――
カカシは再不斬の最期の願いを聞き入れ、白の隣へと彼を担いで運んだ。
地に降ろされた再不斬はカカシに短く礼を告げ、白の顔をじっと見つめた。
それは、とても、とても、大切なものを見る
優しい、人の瞳だった。
「…できるなら……お前と…同じ所に…行きてェなぁ……俺も…」
雪が、静かに空から落ちてくる。
その雪が白の顔に落ちて溶けた。
まるで、白の涙のようだった。
遠くで見守るナルトが、カカシの隣でぽつぽつと呟いた。
「…コイツ…雪のたくさん降る村で生まれたんだ……」
「そうか……雪の様に真っ白な少年だったな……」
再不斬は、白のとなりで――――――
…――――――静かに息を 引き取った。