第52章 大切なこと
―――――― 震えた 掠れ声が、鼓膜を震わせた。
「……小僧……それ以上は……何も言うな……」
鬼人と呼ばれた男の頬には、涙が伝っていた。
(―――――― この人は、とても強い忍だけど、白のことを理解していたのね)
白が心を痛めながら戦っていたことを。
そして、忍も人間であり、感情のない道具にはなれないということを。
再不斬はナルトにクナイを要求した。
もう、両腕が使えない再不斬は、そのクナイを口に咥え、そのまま敵に突進した。
とても、痛かった。
見るのは、つらかった。
その大きな背には、沢山の武器が突き刺さり、それでも…どんなに傷を受けながらも、ガトーの元まで突き進んだ。
―――――― 彼は最後の力で、ガトーの首を刎ねた。
とても見ていられないほど惨い死を、再不斬はガトーへ手向け…――――――
「もう…さよならだよ白…
今までありがとう…
悪かったなあ…」
―――――― 力尽き、倒れた。
「ナルト。目を背けるな。 必死に生きた男の最期だ。」
「……うん…」
少し離れたところから、サクラの声が響いた。
「サスケくんは無事よォ!!ちゃんと生きてるわァ!!」
さきがその声のほうへ視線を移すと、手をこちらにあげ、少し照れたような顔をするサスケがいた。
『……よかった… あの子、サスケくんを殺すつもりはなかったんやね……』
さきは胸を撫で下ろした。