第52章 大切なこと
「…姉ちゃ……~~っ!! お前も何とか言えよ!!仲間だったんだろ!!!」
ナルトはさきの腕の中で、再不斬に吠えるように叫び訴えた。
「あんなことされて何とも思わねェのかよォ!! お前ってばずっと一緒だったんだろ!!」
(ナルトくん、もうやめて。彼が一番…)
さきはジタバタと腕の中で暴れるナルトを必死に抱きしめて、止めた。
「…ガトーが俺を利用したように、自分も白を利用してただけのことだ。 …忍の世界では利用する人間と、利用される人間しかいない。 俺が欲しかったのはあいつの血で、あいつ自身じゃない。 …未練は無い。」
(―――――― 再不斬…)
「お前ってば…本気でそう言ってんのか…」
何も答えない再不斬。
ナルトは遂にさきの腕を強く振り払い、彼のもとへ歩みを進めた。
『ナルっ…!』
「やめろナルト!もうこいつと争う必要はない…それに…」
「うるせェー!!オレの敵はまだこいつだァ!!!」
ナルトは再不斬に向かって指をさし、息を切らすほどに叫んだ。
そしてその指を白のほうへと向ける。
「あいつは……あいつはお前のことがホントに好きだったんだぞ!! あんなに大好きだったんだぞ!!
それなのにホントに何とも思わねーのかァ!!」
再不斬は、ナルトに背を向けたまま何も言わなかった。
「お前みたいに強くなったら…ホントにそうなっちまうのかよォ!! あいつはお前の為に命を捨てたんだぞ!!」
ナルトは滝のように涙を流し、泣きながら訴えた。
「自分の夢も見れねーで………道具として死ぬなんて………そんなの…つらすぎるってばよォ……」