第51章 SILENT KILL
「何をやっても意味ねーぜ。 お前には俺の気配は全く掴めていない。だが、俺はお前のことは手に取るように分かる…
カカシ…お前は完璧に俺の術中にはまった」
濃霧の中、再び再不斬の声が響くなか、すぐそばからビシビシと伝わる大きなチャクラの正体に、さきも心当たりを感じていた。
(不確かやけど、恐らくこの嫌な感じのするチャクラはナルトくんの“中”くらいしか…)
しかし、この濃霧では何も見えない。
動くにも動きようがない。
さきは様子を見るしかなかった。
再不斬を攻撃した時とは霧の濃度がまるで違う。
先ほどまで見えていたカカシの姿もとうに見えなくなっていた。
―――――― ゴゴゴゴゴゴゴ…と、突然地響きが鳴り響いた。
ドゴッ!ガブッ!!バウッ!!
次に聞こえたのは獣の荒い鳴き声と、噛み付いた時の肉が裂ける音だった。
(…この音は、カカシの忍犬たち! やっぱりあの怪我を負ったのはこのためね。)
さきはカカシの手に深く付き刺さったクナイを思い出し、ギュッと奥歯を嚙み締めた。
(ホンマ…どっちが無茶してんのよ。)
「目でも耳でもダメなら鼻で追うまでのこと。お前のクナイを素手で受け止め血を流したのはこのためだ…お前の武器にはオレの血の匂いがべっとりとついている。 そいつらはオレのかわいい忍犬たちでね。どの犬より鼻がきく。術中にはまってたのはお前のほうだ。もはや霧は晴れた。 お前の未来は死だ。」
さきからはそんなに遠くない場所から聞こえるカカシの声。
どうやらうまく再不斬を捕らえることに成功したようだ。