第51章 SILENT KILL
『雷遁 雷球!!』
さきは蛍丸に集まった黄色くバチバチと輝く雷の球を再不斬へ向けて放った。
「チィ!」
再不斬はその攻撃を避けようとさきから距離を思い切り距離をとった。
それを見たさきは蛍丸の柄を咄嗟に口に咥え、更に素早く印を結ぶ。
彼女の手元には三つの彩火玉。
元々遠距離型の彼女には好都合な条件…
『火遁 彩火-紅蜂-!』
フッと手元から消えた彩火玉は再不斬の左右正面に現れ、まるで本物の蜂のように不規則な動きをする赤い炎が次々と飛びかい襲い始めた。
カカシはその隙に胸のホルダーから巻物を取り出し、手に滴る血を勢いよく巻物に擦り付ける。
再不斬は身の危険を感じたのかまたも霧隠れの術で姿を消した。
その時、
『…なに、このチャクラ…?!』
禍々しく、とてつもなく大きなチャクラを感じた。
カカシはまさか、と白に応戦しているナルト、サスケがいる方を振り返った。
脳裏に浮かぶのは、十数年前のあの夜に見た”化け物”。
なんてこったこんな時にもしかしてナルトの…
「封印が解けたのか?!」
カカシはそのチャクラに集中し、読み取った。
(…いや、助かった!まだ完全には解けていない!)
かなり危険な感じではあるものの、ナルトの自我が失われている様子は伺えない。
しかし、何がトリガーとなったかは分からないが、封印が外れかかり、九尾のチャクラがナルトの体外に漏れ出していることは確かだった。
(今ならまだ間に合う!)
「聞こえるか再不斬…お互い忙しい身だ…次で白黒つけるってのはどうだ!」
カカシは先ほど血を擦り付けた巻物を素早く巻き取り、印を組み始めた。
虎・巳・辰・戌
「忍法口寄せ!土遁 追牙の術!!」
カカシが手をついた地面に、巻物よりい出た術式が広がった。