第51章 SILENT KILL
再不斬は霧隠れの術を使い、姿をくらました。
次第に霧が濃くなり、カカシの視界のほぼ全てが真っ白に覆われた。
「俺は既にお前のその目のくだらないシステムを全て見切ってんだよ。 白は頭も切れる…大抵の技なら一度見ればその分析力によって対抗策を練り上げてしまう」
濃霧に溶けて行くように再不斬は消え、声だけを響かせた。
カカシの視界はほぼ0に近かった。
写輪眼は目と目を合わせることでその瞳術が発揮される。
再不斬の狙いは自分の姿を消すことではなく、カカシに写輪眼を使わせないことだったのだ。
(これじゃ再不斬自身何も見えないハズ……)
目を凝らし、再不斬の気配に細心の注意を払っていたカカシの耳に突然、手裏剣の風を切り裂く音が聞こえた。
「くっ!」
カカシはその音と写輪眼の瞳力を頼りにギリギリのところで手裏剣をクナイで防いだ。
(まずいぞ。状況がどんどん不利になってきている。)
カカシのクナイを握る手の力は先ほどより強くなっていた。
それほど緊張感を持たなければ、本当に何も見えないのだ。
再不斬は写輪眼を細かく分析し、その対策として敢えてカカシの目を見ないという方法を取ってきた。
更に霧隠れの術によるこの濃霧を利用すれば、カカシの視界も奪うことが可能だ。
つまり目を合わすことが出来なくなってしまったこの環境下では、写輪眼は、実質ほぼ無意味なものになってしまったのだ。
「忘れたのか…俺が音だけでターゲットをつかむサイレントキリングの天才だということを!」
再び再不斬の声が響き渡る。
―――――― 視覚ではなく聴覚で戦うというのか?
(ちくしょう…サスケとナルトも心配だってのにこれほどの悪条件下での戦いは久しぶりだ。 ―――――― 冷静になれ…考えるんだ…奴はどこを狙ってくる?)
カカシは思考を巡らせた。
そして、
―――――― まずい!!!