第50章 目立ちたがり屋ヒーロー
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『ちょっ…!!!ナルトくん待って!!』
という声は彼に届いていたのだろうか?
…否、多分何も聞かずただの勢いで彼は飛び出して行った。
目立ちたがり屋の彼は…
「うずまきナルト! ただいま見参!!」
既に交戦状態だったタズナさんの橋の上に、超ド派手に登場してしまった。
『ねぇ馬鹿!!目立ってどうすんの?! 良い標的になるだけやで?!」
さきのこめかみがツキリと痛む。
ああ、これは面倒なことになったものだ。
ここでいきなり攻撃されては堪らない。
さきは直ぐにナルトの近くに降り立ち、相手からの攻撃に備え構えた。
案の定、カカシと戦闘していた再不斬がナルトへ向かって手裏剣を投げた。
『言わんこっちゃない!』
さきがそれをクナイで防ごうとした時、手裏剣が飛んでくる方向とはほぼ真横の位置から千本が投げ込まれた。
キンキンっと軽やかな金属音を響かせ、手裏剣と千本が地面に落ちる。
「再不斬さん、この子はボクに…この戦いはボクの流儀でやらせて下さい」
その、まだ声変わりしきれていない、柔らかく中性的な声を聞くのはこれで二度目。
再不斬が「白」と呼んだこの子はやはり、あの時再不斬を連れ帰った、彼の仲間だったようだ。