第50章 目立ちたがり屋ヒーロー
白のすぐ側には何枚もの氷の鏡で出来たドーム状のものがあり、その中ではサスケが生傷を負っていた。
(見たことない術…スピードの速いあのサスケ君が傷だらけになっちゃうなんて、これは用心しないとね。)
『ナルトくん、ここはサスケくんのサポートをあのドームの外から……って、え?!?!』
隣にいたはずのナルトが居ない。
再びドームの方に目を向けると、なぜかサスケの他にもう一人見覚えのあるオレンジ色がいるではないか。
「よ!助けに来たぞ!」
『なにやってんの?!もう?!』
さきの声がヒュッと裏返る。
(怖い、ほんまに怖い。ナルトくんの読めない動きが。)
ナルトはあろう事か今度はそのドームの中に自ら入っていってしまったのだ。
これでは敵から袋叩きにされるだけである。
さきはなんとか二人を助け出せないものかと思考を巡らせた。
あの中には二人の仲間がいるのだから、下手に外からの攻撃を仕掛けるとかえって危険度が増してしまう。
しかも、そのうち一人は予測不能な動きをする悪い癖があり、少々やっかいだ。
(それにこの術、見たところ…)
なんだか、どんどん状況が悪化してるのではなかろうか。
『ったく…!』
さきは仕方なくその場を離れ、カカシが離れるべきか迷っているであろうタズナさんの方へ移動した。
『カカシ! タズナさんとサクラちゃんは私が!』
「さき…」
あそこはひとまず二人に耐えてもらい、私はターゲットのタズナさんを守りつつカカシのサポートをするのがベスト…と、さきはそう判断した。