第50章 目立ちたがり屋ヒーロー
刀傷はタズナさんの家の方向へと続いていた。
それらはあまり綺麗な太刀筋ではなく、かなり乱れてる。
(荒々しくて暴力的…そこまで大した相手じゃないみたい。)
さきは冷静に状況を観察し、考察した。
(状況として考えられるのは、ガトーの手先ってところね…あの二人が人質なんかになってないといいけど)
『剣士の相手は私がするから、ナルトくんはまず、二人を助けることを優先して。 そこから先は……もう任せられるよね?』
「おう!!」
さきは手短に指示を下した。
ナルトの返答も申し分なく、やる気に満ち溢れた表情を浮かべていた。
さきとナルトが向かった先には予想通り、ガトーの手先と見られる刀を提げた男が二人。
ちょうどツナミさんを縛って連れていこうとしていた。
そこへ――――――…
「かっ…!母ちゃんから離れろー!! うおおおおお!!」
小さな少年が勇気を振り絞って男二人に立ち向かい、勝負を挑んだ。
イナリだ。
「斬るぜ」
「ヤリィ」
男らは刀に手をかけ、迷うことなく抜刀した。
その瞬間。