第49章 若きその姿に学ぶ
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ナルトに肩を貸すサスケと、サスケの肩に腕を回したナルトがようやく帰ってきた。
彼らの表情から読み取るに、どうやらもう、ただの仲の悪い同期ではないらしい。
2人が木のてっぺんまでのぼったことを聞いたカカシは、「よし!明日からお前らもタズナさんの護衛につけ」と指示を下した。
(これがお前達に言ってやれる最高の褒め言葉。 そして、“認める”ということだ。)
元気よく「押忍」とかえってくる返事。
カカシは隣に崩れ込むようにして座ったナルトの頭をポンと撫でた。
(お前達が誇らしいよ。 …オレはもっとしっかりしないとな。)
さきやタズナが和やかにその様子を見守っていた中、突然、イナリがナルトを見て泣き叫び始めた。
「なんでそんなになるまで必死に頑張るんだよ! 本当に強いやつの前じゃ弱いヤツはやられちゃうんだ!! お前見てるとむかつくんだ! 辛いことなんか何も知らないで楽しそうにヘラヘラやってるお前とは違うんだよ!」
カカシは唖然としていた。
…が、この子も家族を亡くした一人だ、とすぐに考え直した。
明るく振る舞うその裏側で必死に頑張っているナルトの姿に、心から慕っていた父親の姿でもみたのだろうか。
(この子はナルトのことを知らないから、つい言っちまったんだろうなぁ……)
「お前みたいなバカはずっと泣いてろ! 泣き虫ヤローが!!」
ナルトもたまらず声を荒げた。
(あーあナルトも、こりゃ言葉足らずだね 全く…)
案の定、イナリはその場から逃げるように去ってしまった。
カカシは少し重たい腰を上げ、幼くまだ弱いイナリくんのところへと向かった。
(しかし、ま…オレがこんなふうに動くようになるなんて
誰が思ったかねぇ)
外はほんの少しひんやりとした空気が漂っていた。
しばらく足を進めるうちに、小さく膝を抱えて座り込んだ少年の背を簡単に見つけることが出来た。
「ちょっといいかな…」
驚かせないよう、そっとその背に声を掛ける。
カカシの低く甘い声に振りむいたイナリ。
カカシは、彼の隣に腰を下ろした。