第49章 若きその姿に学ぶ
悲しみに明け暮れ、ポツンと一人涙を流しているイナリは、とても幼く小さかった。
その姿を、カカシはどこか懐かしく見ていた。
それはかつての自分を感じるようだった。
カカシにとって、自分のことを命がけで生んでくれたであろう母親の記憶は残念ながら殆どない。
そして自分に残された唯一の家族であり、尊敬していた最愛の父サクモは、別れの言葉も残すことなく、自らその命を絶ったのだ。
おそらく、昔の自分は今の自分からは想像もつかないくらい孤独で、きっとイナリのように父を……――――――
「…ま!ナルトの奴も悪気があって言ったんじゃないんだ…アイツは不器用だからなぁ」
カカシは納得のいってない様子のイナリを横目に、ナルトの過去を掻い摘んで話し始めた。
「お父さんの話はタズナさんからきいたよ。 ナルトの奴も君と同じで子供の頃から父親がいない…というより両親を知らないんだ。 それに奴には友達の一人すらいなかった。
ホント言うと君よりツラい過去を持ってる…」
イナリは意外そうな声を上げて聞き返した。
(どうやらナルトに“少し違う”興味をもってくれたようだな。)
カカシはそのままナルトの話を続けた。
「けど!ツラいとイジけたりスネたりして泣いているところは1度も見た事がない。 アイツはいつも誰かに認めてもらいたくて一生懸命で…その夢のためだったらいつだって命懸けなんだ」