第49章 若きその姿に学ぶ
◆
その翌日のこと。
ナルトくんとサスケくんの修行を暫く見ていたさきは、彼らより一足先にタズナさんの家に戻ってきた。
そこでは、ようやく殆ど体が回復したカカシが、タズナとサクラを背に乗せリハビリを兼ねたトレーニングをしていた。
さきは、(指一本で体を支え何百回も腕立て伏せ…凄いなカカシ。…どうやったらあんなことが出来るの…)などど考えながら、彼らから少し離れた場所に腰かけて見守っていた。
そこにふとタズナがカカシに、なぜ任務内容を偽ったのにここにいてくれるのかと尋ねた。
「義を見てせざるは勇無きなり。勇将の下に弱卒無し! 先代の教えです。これが忍の生き方…お金だけで忍は動くわけじゃありません。」
カカシは指立て伏せを続けながら静かに答えた。
それは、まるで自分自身に言い聞かせているようにも見えた。
彼の部下であるナルト、サスケ、サクラの三人は、言うまでもなく力を付けていた。
(でもそれは、カカシがここに残ると判断し、この子たちに強くなる目的を持たせたからこその結果。)
さきには、任務外と知りながら、困っている人を助けるなんてことは昔のカカシなら出来なかっただろう、と容易に予想がついていた。
しかし今はそれをすることが出来、カカシ自らも調子を整え次の戦いに備えている。
(それにはきっと、タズナさんの教えてくれたカイザさんの話も、影響してるんだろうね。)