第48章 "LOVE" is ...
ツナミさんはさきの胸にそっと手を置き、「ね?」と優しい笑顔を向けた。
つぅ…っと頬を濡らしたのは次から次へと溢れ出る大粒の涙だった。
私の心の中の闇の一部が晴れていくような感覚。
言葉に出来ない感覚。
でも何故かとてもスッキリした。
大粒の涙とともに、何かが流れ落ちていくような……
「あらあら。 待ってて、タオル持ってくるから」
ツナミさんはさきが泣き始めたのを見て、もう一度洗面所の方へ、タオルを取りにパタパタと小走りに向かった。
ポロポロと涙が溢れてきて、どういう訳か止まらない。
でも不思議と悲しい気持ちは全くなかった。
苦しくて痛くてたまらなかった、キリキリと締め付ける、心に食い込んでいた糸が、少しずつゆるゆると緩んでゆく。
戻ってきたツナミさんはタオルでポンポンとさきの頬を伝う涙を拭ってくれた。
「ねぇさきさん… カカシ先生、とてもいい人ね。
あの人、マスクで顔の殆どは見えないけど、それでもその表情や声ひとつで、あなたのこと凄く大切にしてるのが分かる。
あなたの中の何かを変えてくれるといいわね?」
『ふふ…恥ずかしい…でも…カカシは、私にとっても凄く……ふふ…凄く 大切な人です…』
"自分にとって本当に大切なものは たとえ命を失おうと この2本の両腕で守り通すんだ"
深い夜の時間の彼女たち二人の静かな笑い声と、この波の国の英雄カイザさんの言葉が胸に響いて溶けた。
さきたちはお茶をもう一杯ずつ飲み、朝食の仕込みをしてから、「おやすみなさい」と、それぞれの寝室へと戻った。
すぅ…と寝息を立てているサスケとサクラの可愛い寝顔を見てさきは思わず微笑む。
そしてその隣には、カカシが静かに眠っていた。