第47章 空白の時間
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『はぁ。暇やな~…』
……ということで、さきはひとりきり、部屋の布団の中で休ませてもらっていた。
あの後、部屋に戻ってきたナルトと、ここにいた残りの三人は修行の為に外へ出ていってしまった。
代わりに、ポツンと残ったさき。
あれからどんどん熱が上がってきて、身体がだるく重くなってきていたが、なんだか自分だけが取り残されたみたいで……
『はぁ』
もうこれで何度目かも分からない溜息をついていると、表のドアが開閉した音が耳に飛び込んできた。
カカシが松葉杖をついて帰ってきたのだ。
(…やばい、寝てない私。 怒られる!)
さきは慌てて狸寝入りを決め込んだ。
カツンカツンと杖の音がして、その後は何度か足音がした。
そして、暫くしてゴソゴソとさきの隣に敷かれた布団に潜るような音が聞こえた。
カカシも自分の布団に戻った…のかな?と、そう思ったので、さきはふっと瞼を開ける。
すると、
「いやバレてるからね? 起きてるの」
『ひぃあ…!ふぐっ!』
さきは開いた目の前にカカシの顔があり、それが視界いっぱいに広がっていた事に心臓が飛び出てしまいそうな程驚き、思わず叫んだ…が、カカシが手でその口を抑え込んだ。
「ハイハイ 他人の家だよ? 叫ばないの…」
カカシは、はぁと溜息を吐いて、よっこいしょと自分もさきの隣に敷いている布団の中へと潜り込んだ。
そしてそのまま寝転んで、さきの布団の方向にごろんと向き直った。
さきもカカシの方へごろんと寝返りをうつ。
二人は互いに向き合う形となった。
『もう…! 脅かさんといてよ…』
「寝てろって言ったのに寝てないからでしょーよ。 熱がまた上がったみたいだな。 顔も少し赤いし。」
カカシは少しだけ不機嫌そうな声色だ。
『ん…多分ね。だるいし、身体の節々が痛い…』
「ま、あんな風に無茶すれば体に不調が出てもおかしくないな」