第46章 敵現る
ザブォ!と激しく大きく波打つ水。
さきはサクラが庇っているタズナさんをサクラごと支えて、背後からくる津波のような川の水に流されないよう堪えた。
ザザァ…と音を立てて、波が後方へと広がっていく。
その中でカカシと再不斬は首斬り包丁とクナイで競り合っていた。
同じタイミングで距離をとり、そして走り出す。
(―――――― あれは写輪眼の力…)
再不斬の動きや言葉を先読みし、カカシはまるで彼を挑発するかのように次々と仕掛けてゆく。
そして一瞬、再不斬の気の緩みが見えた。
カカシはそれを見逃さず、素早く印を組んだ。
さきはそれが合図かのように、カカシの方へと再び駆け出した。
「水遁 大瀑布の術!!!」
―――――― ズゴゴゴゴゴゴ…
カカシが術を発動すると、大量の川の水が舞い上げられ、まるで大きな滝のように一気に落下を始めた。
その水は再不斬を飲み込み、遠く流された先の大木にドカッと鈍い音を立てて強くぶつかった。
「ぐっ!」
『終わりよ、再不斬』
「……!!」
さきは再不斬の手足にクナイを投げ、抜刀した蛍丸を彼の首にあてがった。
ザザザ…と波音が小さくなってゆく。
大洪水となっていた水はカカシが解術するとともに、みるみるうちに引いていった。
術の威力で地面は抉れ、周囲はまるで自然災害にあったかのような光景に変貌していた。
「お前は死ぬ」
カカシが一際鋭く睨みを利かせて言ったその時。
さきの死角から突然千本が投げ込まれ、さきが蛍丸をあてがっていた再不斬の首を貫いた。
「『?!?!』」
突然のことに、カカシとさきは目を見開く。
そして二人の頭上、少し離れた場所からは、まだ声変わりしきれていないためにどこか幼さを感じさせるような、中性的な声が響いてきた。
「ふふ…本当だ…死んじゃった♡」