第40章 私は貴方で、お前はオレで。
さきはムゥっと口を尖らせて、ぴたりと歩く足を止めた。
『…カカシさ、この間の鈴取りを一緒にした時から……なんか変なこと考えてるやろ?』
さきはカカシの心を読むように、眉を顰めてジィっと彼の顔を見た。
カカシは「そんなことないよ」と否定しながら、彼女の横を通り過ぎようと足を進める。
しかし顔に出ていたのかそれとも声色にでも出ていたのか、さきが伸ばした手がカカシの袖を掴み、その歩みは止められた。
『あのねカカシ、私試験中に…何度かカカシのことを思い出した』
「俺を?」
『そ。……私が今回の試験でやったことって、カカシならこうするやろうな~ってことばっかり。 それどころか、本来思っちゃダメなんやろうけど、ここに居るのがカカシならこんな術をこのタイミングで出してくれるのにな…って。 まあ結果、仲間が手助けしてくれたけどね。』
彼女はへへと笑って続けた。
『今の私は、カカシで出来てる。 カカシが居るから強くなれるんやで。 やから、カカシは変なこと考えないで、私の前で強く居てよ。 私…頑張って追いかけるから』
(本当にそれだけで良いのか?…オレは…)
「オレはお前に何もしてやれてないでしょ」
『いや、私も何もしてないやろ?』
「………どういう意味?」
『さっき言ったやろ? 今の私はカカシで出来てるって。 つまり…カカシのその目に写ってる私は…カカシなの。 だから、カカシは私を見て、カカシがしたいようにすればいい。 それが、私になるから。 ね? …わかる?』
「…そうなの?」
カカシはわかりやすく困惑した。