第40章 私は貴方で、お前はオレで。
三代目火影が一歩前に進むと、会場の空気がキンと引き締まった。
「これより始める第三の試験。 その説明の前にお前達に告げておくことがある。」
それはこの試験の真意についてだった。
この中忍選抜試験は同盟国同士の友好、忍のレベルを高め合うことが目的である。
しかし、これは同盟国間の戦争の縮図でもあり、受験者は国の威信を背負い、命懸けで闘うことになる…三代目はそう説明した。
戦争の縮図…それはこれから招待される諸国の大名や著名人などの客、各国の隠れ里を持つ大名や忍頭がその戦いを見るためだ。
勿論、彼らはただ観戦を楽しむという娯楽的意味合いもあって木の葉の里に訪れるかもしれないが、何より重要なのは、その結果によって今後の仕事の依頼数が左右されるなど、外交的、政治的意味もその中に含まれるということだ。
つまり、強く優れた忍はその里の脅威の象徴にもなるということ。
戦争と忍は切っても切り離されないものなのだ。
「国の力は里の力...里の力は忍の力。 これは己の夢と里の威信を懸けた命懸けの戦いなのじゃ」
(なるほどね…)
三代目の話は、なるべくオブラートに包むような遠回しな話で、何だか難しい話のようにも聞こえたが、つまりは自らの夢の為の勝利は里の勝利にも繋がる…だから死ぬ気でやれ、とそういうことだ。
(まだまだ戦争が絶えない世界か…)
『ふっ…オリンピックでもすればいいのにね…』
さきは自分の世界の平和がどれだけ尊いものなのかも、火影様の話の中で感じていた。
______ 第三の試験は、本日よりちょうど一ヶ月後…トーナメントはその際発表されるらしい。
ここで棄権する者は居ないかの、最終確認が取られた。
手を挙げる者は一人としていない。
“この場”では、棄権する者は誰もいなかった。