第40章 私は貴方で、お前はオレで。
◆
第二の試験は予定通り五日間行われ、試験を通過した者は塔内での寝泊まりとなっていた。
さきは後に知ったのだが、彼女たちのチームは今回の第二の試験で一番最初にゴールできたチームだったらしい。
そして今仕方、“ちょうど”五日目が終わった。
召集の掛けられたさき達三人は、第三の試験が行われるという武闘場へ向かった。
そこに集まった合格者は、わずか九名。
たったの三チームだった。
その厳しい現実にさきはそっと胸を撫で下ろす。
(よかった…なんとかここまでこれた)
このたった九人という少ない枠の中に入れた事が、自分の実力では無く奇跡だったとしても大変喜ばしいことだ。
しかし、ここで例え第三の試験で優勝したとしても、中忍としての素質が認められなければ、下忍から昇格することは出来ない。
(まだまだ安心はできひんな)
ゾロゾロと会場内に木の葉ベストを身につけた忍が集まってくる。
さき達九人の下忍の前には、火影様を初め、上忍、特別上忍、中忍など多くの手練が整列した。
…その中にはカカシの姿もあった。
さきが、あっ…と思っているとまるでその心の声が聞こえたかのようにパチッと彼との視線が合う。
その瞬間、自分には実力や奇跡なんかよりもっと確実なものがあったではないか、と彼女は気付いた。
さきは口元に薄っすらと笑みを浮かべる。
(この試験も、合格に導いてくれたのはカカシやんか…)
カカシは相変わらず眠たそうな目をこちらに向けるだけだった。
間もなくして、アンコの進行により、火影様から直接第三試験の説明を仰ぐ流れとなった。