第39章 CRISIS
ギィン!と音を立て、刀と刀がぶつかり合う。
「この刀には毒が塗ってある! 少しでも触れるとそこから毒が回っていくからな!」
『くっ!』
そんなものに触れたくはない。
さきが攻撃を受け止める度、ギィン、キィンと刃の混じり合う音が響き渡った。
忍術や体術などの修行ばかりしていたさきにとって、剣術は数年前の現役時代にも劣る動きしか出来ない上、今使っているのは刃渡りの短いしがない短刀だ。
正直言ってかなりきつい。
キチキチ…と鍔迫り合う。
(このままじゃ力負けしてしまう…何かいい方法は…)
「水遁! 雨あられ!!」
漸く、さきの背後からアイリの援護が回ってきた。
バッとその術を避けるようにさきと敵は離れて間合いをとる。
『ナイスやよアイリ!!』
カブトとアイリのすぐ近くまで下がることのできたさきは、一か八かチャクラの形態変化を利用した。
カカシの雷切を思い出しながら、チャクラを刃に纏うように集中して放出する。
「火遁の性質を短刀に…?!」
それを見たカブトはさきのすぐ隣で驚愕した。
『やってみただけ! どうなるか分からへんから、どうにか援護をお願いね!』
「どうにかって…ちょっ、さきさん!」
そう話している間も、敵は待ってなどくれない。
さきはカブトの言い分は聞かずに、再び敵に立ち向かった。
しかし、このまま真正面から攻撃してもリーチの長さでかなり不利なことは明確だ。
どうにか目くらましさえ出来れば、そのまま標的の後ろに一瞬で回り込み、攻撃することが出来るだろうが…その考えを実現できるかと言えば、それは限りなくNOに近い。
さきの脳裏には、自分の考えや行動をくまなく読み取ってくれるカカシの姿が浮かんでいた。
(……カカシならここで水陣壁や土流壁で…)