第39章 CRISIS
「土遁・土陸返し!」
『!!』
その声の主はカブトだ。
突然、さきの真下から少し前方までの地面が大きく持ち上がり、敵との間に薄い壁が出来上がる。
______ ここだ!
さきは瞬身の術でその壁を越え、敵の背後に回りこんで攻撃した。
炎を纏った短刀は、さきが振り下ろしたと同時に敵の足を切り付ける。
その切り付けた箇所からはボッと炎が燃え始めた。
敵は大声で叫びながら、燃え上がる火を消すために地面に転がり込む。
そこまで深くは切りつけていないものの、恐らく神経までは傷ついているだろう。
きっと簡単には動けまい。
「今のうちですね!!」
アイリの声にさきはコクリと頷く。
三人は素早くその場から立ち退いた。
カブトにはアイリと二人で肩を貸し、一直線にゴールをめざして走る。
そして……
漸く辿り着いたゴールには、スタート地点にいたアンコの姿があった。
「おかえり!待ってたよ! 早かったじゃない!」
その姿をみて、ホッとしたさきは、『アイリ、カブトさん、ありがとう。 はぁ~…助かったねぇ…』と二人に礼を告げ、その場にへなへなと座り込んだ。
カブトは今まで気を張っていたさきとは違う姿を見てクスクスと笑い、アイリは「本当に勝手なことしてゴメンなさい」と全力で謝罪した。
天地の書を揃えて開くと口寄せの術式が刻まれており、そこから中忍が現れた。
三代目火影様の中忍心得の教えが伝えられる。
有難いお言葉を、アイリとカブトはうんうんと頷きながら聞いている。
そんな中、さきだけはある考え事をしていた。
(カブトさん、チャクラの性質二つ使えるんやな…そういえばこの人、私の情報は“無い”って言ってたのに彩火師の名は知ってた……どういうこと?)
やっぱりこの人何か隠してるんじゃないか…メガネの奥で笑う目がどうしてこんなに怪しく感じるのか。
それを知ることは出来ないまま、さきは第二の試験をクリアした。