第39章 CRISIS
アイリの斜め後ろから、クナイが襲う。
(あっちに誰かいる!)
アイリはさきの咄嗟の声に反応し、クナイの存在に気付くもこのままでは避けきれない状態だ。
『影分身の術!』
さきはクナイが飛んできた方向への注意を外さないまま影分身を二体作り出した。
一人の分身を間に挟むようにし、もう一体の分身は脛を、本体のさきは背を足場に強く蹴って加速する。
前に飛んだ分身にはアイリに付くよう指示を出した。
「ちぃ!!」
カブトが勢いよく前に飛びだし、アイリに飛んできたクナイをキン!とクナイで間一髪防ぐ。
しかしその隙に、今度は反対側から剛腕が襲いかかりアイリの横腹をもろに捉えた。
――――― バキィ!!
「ぐぅっ!!!」
「アイリさん!!」
投げ出されるアイリを、影分身のさきが受け止めた。
地面をズザーっと滑り、勢いよく岩に衝突したその衝撃でさきの影分身は消え、アイリはゲホゲホと咳き込む。
「っさきさん!!」
カブトがさきの名を叫ぶアイリのすぐ側で敵に体術で応戦するもその力になかなか歯が立たない。
一方本体のさきは、先程分身の背を足場に蹴ったその勢いで、クナイが飛んできた方向へ体を転回し、印を素早く結んで術を仕掛けた。
『火遁・炎弾!』
素早くそれを避けた敵がさきの頭上を高く飛び、カブトの方へ向かってゆく。
(アイリを狙ったのはあいつか!)