第2章 Crying Night
さきは彼の胸を借り、ひとしきり涙を流した後、堅い胸を押し、謝りながらカカシから離れた。
『ごめんごめん、ほんまにごめん。』
いや、ずるい。
こりゃモテるだろうな。罪な男。 と、ぼんやり考える。
その優しさにまんまと甘えた自分も自分だが。
『あ…ベッドほんまに使ってね? 私、硬いとこのが寝れるの。ほんまに。 家のベッドも結構固めやから』
「へぇそりゃ偶然。 オレも硬めのベッドが好きなのよ。 もしかしたらお気に召すかもよ?」
『うっ…』
「なんなら一緒に寝る?」
カカシは目を三日月形にして微笑む。
こんな変態発言も、顔の半分しかでてない状態でも、こりゃイケメンだなってわかるそのお顔立ちでニッコリされるとまぁ、私もちょっといいかなって気に…
『なるかアホ!人としてあかんでしょっ』
心の中の自分とノリツッコミを交わし、ついでにカカシのセリフを否定する。
その後、このベッドの譲り合いは数分間に及んだ。
「これじゃ朝になるまで口論しちゃうでしょ…」
『それでもいいのっ!私は床で寝るもん…おやすみなさい』
さきは強制的にその場でゴロンっと寝転んだ。