第1章 真夏の旅人
『はいはーい!』
大きな声で返事をして、パタパタと小走りで玄関へ向かった。
ガチャ…
『おはよ~あやかちゃ…』
「さきちゃんおっはー!!!朝からパン屋並んできた!これ食べよ!!!」
『…なぁ…あっついねんけど朝から!』
ドアを開けるなりハイテンションで話しながらガバッと抱きつく1人の女性。
彼女こそさきの親友のあやか。
さきと同い年の明るい子だ。
キャイキャイと言いながらさきは彼女をリビングへ通し、新しく買ったばかりのドリップコーヒーを2つ入れた。
「さきちゃんまだ寝巻きやん。ちょっと早すぎた?」
『早いも何もさっき起きたばっかり。はい、コーヒー』
「ありがと!はいはい好きなもん選んで食べてー!めっちゃ買って来た!」
テーブルに並べられたのは10種類ほどのパン。
菓子パンに惣菜パン、サンドイッチ…
うちはコレと、コレね!と、お気に入りのパンを選び、さっそく口へとパンを運ぶあやかちゃんの姿を見てさきもクスクスと笑いながらコーヒーを飲む。
そう、これが私の毎日。