第38章 SURVIVAL
「…なかなか良いコンビネーションでしたね!!」
アイリが嬉しそうに笑った。
『やね。さて、巻物巻物…』
彼らが去った後、さき達は身を潜めていた岩陰から出てきて、彼らが残して行った…というよりも落とさせた荷物の中から、お目当ての巻物を探し始めた。
「あっ。 ありましたよ」
カブトが手にしていたのは、ちょうど自分たちの求めていた天の書だ。
「ラッキー!凄いですさきさんの作戦! 敵の攻撃を受けることなく巻物をゲットできるなんて!!」
『別に凄くはないやんか』
あんな同意書にまでサインしたのだから、受験者の殆どが敵との術合戦は絶対かのように思いこんでいた。
しかしさきは、それを冷静に考えていた。
血を流さないで済むのなら、勿論その方が良いに決まっている。
今彼女らがとった作戦は、人が現れやすいであろう川に沿って行動し、見かけた敵の視界をどうにか奪い、持ち物を奪い取ろうというだけのこと。
こんな夜中にただ視界の悪い森の中を無我夢中で進むよりもよっぽど効率的である。
(きっとカカシなら無駄な戦闘は避け頭を使う。 それも、カカシはもっと簡単に卒無くこなすはず。 それを私もやっただけ。)
さきもこの試験が命懸けであることは理解していた。
受験者の忍だけでなく獣とか、虫とかが恐らくたくさん生息していることも。
出来る限り安全に、そして早くこの森を抜けるための知恵としてさきが川を選んだのは大正解だったようだ。
『ま、敵でも獣でも、襲われた時は私たちも当然防衛が必要やけどね』