第38章 SURVIVAL
「頭脳明晰、冷静沈着な平和主義者といったところですかね……」
カブトはメガネをクイとあげ、口元に笑顔を浮かべた。
『百戦百勝は善の善なるものに非ず。
戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり。 …っていうやろ? 戦いはあくまで手段であって目的じゃない。 確かに、戦って勝てるなら良いけど、戦わないで敵に勝った方がもっとえぇやんか。 別に私の頭がいいわけでも何でもないよ』
「フフ…優しいんですね」
『それはどうも…さ、早くここから離れよ? 騒ぎに気づいた人が来るかもしれへんし、さっきの人達も戻ってくるかもよ?』
「なら、このまま一気に進みましょうよ。 どうせ進むなら皆の動きが止まってる可能性が高い夜の方が良いですよね。」
「そうですね。 このまま行けば朝にはゴールまで辿り着けそうです。」
『よし…じゃ、行こう。 10キロなんてあっという間よ。 カブトさん、巻物は取られないように天地バラバラに身に付けてね。』
さき達は短い作戦会議を終え、直ぐにその場を離れた。