第37章 中忍選抜試験開幕
午後3時頃。
そろそろ出なければな、とさきが忍具の最終チェックを行ってる時、玄関の扉が開いた。
カカシが帰ってきたのだ。
『カカシ…!おかえりなさい』
「はぁ…まだいてよかったよ。 これから行くところでしょ? 中忍試験。」
カカシは、わざわざさきが出ていく時間までに、と帰ってきてくれたようだった。
『うんこれから。 頑張ってくるよ』
「ああ。もう一度だけ言うが、無茶はするなよ」
カカシの目は真剣そのものだった。
その目で、中忍選抜試験がどれほど厳しいものなのかをさきは改めて知る。
『うん、分かってる。 その上で必ず中忍になるよ。 約束。』
「よし、お前なら大丈夫。 カカシ先生のお墨付きだ。」
カカシはニッコリと笑った。
そんな彼も、すっかり先生が板についてきたようだ。
(自分から先生なんて言っちゃって…あの子達のお陰やな。)
『ふふ…ありがとうカカシ。』
その"大丈夫"という言葉はさきの背中を更に押してくれた。
今でも必ず毎日、慰霊碑に立ち寄っているカカシ。
でも、今のカカシはちょっと幸せそうだ。
二人がいつも並んで眠るベッドの上に飾られた二つの写真。
よく似た写真。
でも、全然違う写真。
――――― ねぇ、カカシ。
カカシは過去じゃなく、そのまま未来を生きていいんだよ。
私がちゃんと護るから。
その為に絶対もっと強くなるから。
さきの握った拳に、ぎゅっと力が籠る。
忍具を全て装備し、最終確認もOKだ。
『じゃ、行ってくるね』
「ああ。 行ってこい」
さきの中忍選抜試験が始まった。