第36章 手合わせ
シュルルルル…
残っていた一枚の手裏剣がさきに向かって飛んでくる。
よく見るとそれは影手裏剣になっていた。
反応が遅れたさきの細い二の腕を、それらがシュッと二度掠める。
_______________ ボフン!!
「やるね」
カカシが手裏剣を投げた相手は、さきの影分身だった。
さきは身を潜めていたカカシのすぐ後ろの木の枝を力強く蹴り、空中で地面を向くようにフワリと身体を反転させる。
カカシの真上に来たところで更に身体を捻った彼女は、器用に回転しながら容赦なくクナイと手裏剣を投げ込んだ。
リィン…とカカシの腰に揺れる鈴が美しい音色を奏でる。
タン!という軽やかな音ともにさきが地面に着地した瞬間、全ての攻撃を躱したカカシが、突然彼女の目の前に迫ってきた。
瞬身の術だ。
『うわっ!?』
「今のは惜しかったな」
カカシの素早い体術を避ける為、さきは咄嗟の判断で勢いよく後方へと飛んだ。
そしてそのまま素早く空中で印を結び、着地と同時に術を繰り出す。
『火遁・豪火球!』
カカシを襲う大きな炎の球。
カカシもまた、さきの目にも止まらぬ速さで術の印を結んだ。
「水遁・水陣壁!」
しかし水遁の術は、さきの読み通りだ。
大量の水により自分の姿が直視されなくなったさきは、素早く解術してカカシに向かって走り出す。
カカシも術に手応えを感じなくなった途端、さきの方へ向かって走り出した。
『はァーーーっ!!』
そしてまた、二人の長い体術合戦が始まる。