第2章 Crying Night
ポン とさきのまだ少し乾き切ってない頭の上に何かが乗った。
そのままじんわりと暖かさが頭に広がり、それがカカシの手だと理解するまでには、少し時間がかかった。
「上手く言えないけど…そりゃ不安だよね。…ま、確かに生活も変わるし、オレも慣れてないけど、さきが思ってるほど、オレは苦に感じてないよ。 年齢も同じだからね、何とかしてあげたいなって思ってるよ。 …だから泣かないでよ」
『…ごめん…』
さきは頑なに顔を上げず、少しばかり声も震わせる。
「ほら、明日でかけるんでしょ? 泣いたら目が腫れて、ブサイクな顔みんなに晒すことになるよ? 取りあえず、顔上げて…」
カカシがさきの肩に手をつく。
それがきっかけで、さきは ポロポロと涙を流しながら、顔を上げた。
『それは…嫌やな…へへ』
静かに流れる目元の雫を指の関節でクッと抑えながら、さきが柔らかに微笑む。
その表情は、窓の外のすっかり高くなった月明かりに照らされて、なんとも切なく儚げだった。
そしてカカシは、“現在”、しまったと思った。