第35章 嫉妬・挑発・ズルイヒト
さきが薄く唇を開いて、カカシの上唇をツゥ…と舐めると、カカシの唇が軽く開かれた。
そっとその中に舌を入れると、カカシの熱い体温に心地良さが広がる。
柔らかく濡れた舌がカカシのものと触れ合った時、ピクッと僅かにカカシが反応したことを、彼に回した腕が感じ取った。
舌と舌をゆっくりと絡めてヌルヌルと丁寧に舌先で口内をなぞってゆく。
ゾクゾクと押し寄せる快感に、ふたつの呼吸は自然と混じり合い、無意識のうちに微かに甘い嬌声がさきの口から零れ出た。
じんわりと染み出る唾液が絡み取られ、その代わりに舌を軽く吸う。
もっと舌を絡ませたいのに、カカシのようにうまくできないもどかしさを感じながら、さきは必死にキスを続けた。
いつの間にか夢中になっていた彼女の耳に響く艶やかな水音は、更に感度を高めてゆくばかりだ…
ふと、さきは自分の脇腹に、カカシの長い指がそっと軽く添えられていることに気が付いた。
それがいつからだったのか…全く分からないほど、曖昧で朧げな蕩けた脳内。
しかしいつ手を伸ばしたのか分からなかったのは、カカシも同じだった。
ゆっくりで丁寧なさきのキスは、自分のキスとは全く違う。
彼女の甘えるようなキスにほんの少しの物足りなさを覚えながらも、彼は性急に求めるでもなく、優しく受け入れ続けていた。
そしてカカシは、今さきがどんな気持ちでいて、どんな表情をしているのか確かめたくなってきていた。
そっと瞼を開いて、彼女の顔に視線を落とす。
カカシの黒い瞳が蕩けたさきの表情を捉えた途端…自分の中で燻っていた熱い何かが勢いよく溢れて、自身を飲み込んでいくような気がした。
さきの呼吸が苦しくなるまで舌を入れて、搔き乱して、自分でいっぱいにしてやりたい。
柔らかい肌に触れて、鳴かせて、溢れる蜜と嬌声を恥じるお前を見たい。
こんなキスだけで感じているお前の一番奥の方まで、味わって、可愛がって、愛してやれば、どんな表情をするのか……と。
これまでになく、欲情した。