第35章 嫉妬・挑発・ズルイヒト
右手でカカシの上忍ベストの襟を掴み、左手で耳元を丁寧に掬う。
顔をゆっくりと近付けるも、目を閉じさえもしないカカシに、さきはまるで挨拶のような触れるだけのキスを落とした。
ほんの少しだけ顔を離したさきは、カカシの真っ直ぐな瞳を大きな瞳で見つめ返す。
鼻先が再び、ゆっくりと交わっていくのと同時に、さきの長い睫毛が伏せられた。
カカシはそれを見届けて、自分の瞼を閉じてゆく。
カカシの薄い唇の熱が、ふっくらとしたさきの唇から徐々に伝わりはじめた。
その温かさと柔らかな感触を確かめるように、さきは二度、三度…と少しだけ角度を変えながら唇を何度も押し付けた。
下唇を軽く吸うと、チュッとほんの僅かな高いリップ音が二人の鼓膜を同時に揺らす。
さきはカカシを背もたれに押し付けていた手を離し、白銀の髪がかかる彼の首の後ろへと両腕を回して緩やかに組んだ。
カカシの足の間につかれた膝は畳まれ、座り込むような形になる。
カカシを誘い出すようなキスは、まるで愛しい恋人に甘えるようなキスへと変化した。