第35章 嫉妬・挑発・ズルイヒト
そんな話をしながら家に再び帰ってきた二人は部屋に上がり、今日の振り返りについての会話を続けながら、並んでソファーに座った。
(…別に無理に、とは言わない。 そりゃ一緒に行きたいなぁって時だってたまにはあったけど…理由もなくカカシの嫌いなものに誘った所で楽しくないやろうし…)
さきはほんの少し唇を尖らせて、苦手なハズであるあま~い団子を口に放り込んでいたカカシの姿を思い出していた。
そんな少しいじけた様子のさきに気づいたカカシは、さきの耳元に口を寄せ、囁くように尋ねた。
「ね、もしかしてお前…ナルトに妬いたの?」
『?!?!?! …はぁっ?!?!』
さきはあまりにも予想外な質問に、パチクリと数回大きな瞳を瞬かせて、カカシの方を見つめ返した。
さきは驚いた。
カカシにそう聞かれた事自体にも驚いてはいたのだが、自分がそう思ってるのかもしれないという事実に気付いて驚いたのだ。
…そんなんじゃない
そんなんじゃないはず……でも、だって
嫌だったから
『…馬鹿、何言ってんの? そりゃ今回は、相手はナルトくんって分かってたし、何もしない事知ってたけど、あんなスタイルのええ可愛い美女がホンマに目の前に倒れてたら…カカシも普通に助けるやろ?』
「ククク…」
『…お団子だって、カカシが甘い物は嫌いって言うから誘わへんかっただけよ。珍しいって思っただけ…』
カカシはさきの言い訳にも肩を揺らして笑った。
(なに?その笑いは。)
お団子の件はともかく、美女に対しての行動については、カカシだって男なのだから手を差し伸べてしまうに決まっている。
可愛くてセクシーでスタイル抜群な女性が倒れてるのと、さ程可愛くも綺麗でもない普通の女が倒れてるのとなら迷わず前者を選んで、喜んで助けるのが男というものだ…と独自の考えと偏見を以って、隣で笑い続けるカカシをさきはジロリと睨んだ。
『なによ……』
「お前、ホントに可愛いね」
『っまた馬鹿にして……』