第34章 Sランク任務 -4-
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「はぁ…やれやれ」
スケアは部屋につくなり、普段着なれない洋服をポイポイと気だるげに脱ぎ捨てていった。
「ちょっ! いくらお兄ちゃんでも服くらい向こうで脱いでよっ」
「なら、お前こそオレの上半身にそんなに見惚れてないで、向こうむいてなよ」
「別に見惚れてないよっっ」
上半身裸で大きな鏡に向かうスケア。
クロはその後ろでそれを見ないように別の方向を見て座り込んだ。
「あ、あ、ん。 あ、あ~…あ~」
声の調子を戻しながら、茶色くウェーブが特徴的な髪に手をかけると、パサッという音を立ててそのウィッグが外された。
同時に現れる白銀の髪。
グレーの瞳はカラーコンタクト。
紫色の目の周りのペイントをクレンジング剤を含んだコットンで優しく擦って落としてゆく。
目の下に貼っていたシールをそっと剥がすと、大きな傷跡が現れた。
「声色を変えるのは、喉に負担が……あっ…あっ…あぁっ」
「その声の戻し方…やめよーよ」
「なーに言ってんの?さっきから… ま、お前もその高くて子どもっぽい声、早く戻せば?」
「ん、ん、あ。 あぁっ…ん…あ~」
「いや…そんなに変わらないよ? オレと声の戻し方」
「うるさいっ」
クロはその場でボフンと煙を立てた。
『はー…若くというか…幼く偽るのって結構キツいね…』
「上手く化けれてたな。 違和感なかったよ? お兄ちゃんとしては」
『お兄ちゃんも、私がセットしたウィッグとメイクで上手く変装出来てたよ』
「ああ、そう? ま!お前は今の格好の方がマズいんじゃない?」
『へ???』